スキルアップのために急性期医療への転職を考えている看護師へ

 看護師は就職して3年経つと、最初に勤めた総合病院を退職する人が多くなります。総合病院での勤務というのは、負担が大きいからです。女性の場合は結婚や出産を機に退職することも多いですね。では逆に、総合病院への復帰というのはどうでしょうか?

総合病院は、節目で退職していく場?

 看護師は大学だけでなく、専門学校を卒業して国家試験を受ける人が多いですね。大学は奨学金をもらっても、社会人になってから返していきます。専門学校の場合は、病院に付属して設立されていることが多く、その病院に3年勤務することを条件に奨学金を出しているところが多いですね。

 

 就職してから1年目で辞める看護師は、職場や看護師という仕事に適応できないことが多いのですが、その時期を超えると次にやってくる節目は「お礼奉公」の終わる3年です。その次の節目は結婚ですね。
 ではどうして辞めていくのでしょう?それは、総合病院は基本的に急性期がメイン。やはり急性期病棟に勤務するというのは大変なことだからです。ですから、10年過ぎて残る看護師は少なく、逆に若手ばかりが残るということになるのです。

急性期を辞めたらどうなるか

 急性期病棟の勤務では家事・育児との両立が難しい…と、30代に入るとクリニックや療養型・リハビリ専門の病棟、老人保健施設等へいく人が多くなります。急性期を辞めてこれらの職場に行くと、どのようになるのでしょうか

  • 日々大きな変化がないので、情報収集が楽
  • 呼吸器を付けている患者やオペ患者がいないので、勤務中の緊張感が少ない
  • ケアが多くても、介護職がやってくれることが多い
  • 疾患や薬の知識があまりなくても、患者の命に関わらない・日々の仕事ができてしまう
  • 処置があまりないので、看護技術を必要とする場が少ない
  • ステルベンが少ない、もしくはあっても看取り

 確かに、慣れると慢性期や療養であれば介護士にケアの大半を任せて楽できそうです。それでも診療報酬で看護師は求められるので、職に困ることもないでしょう。逆に言うと、ケアを担ってくれるだけの介護スタッフが不足している場合は、体位交換や入浴介助など、体力勝負の仕事が増えることになります。そうだとしても、急性期独特の緊張感がないので仕事に対するストレスが少なくなることは確かです。

【スキルアップを目指そう

 療養型病棟やリハビリ病棟、老人保健施設に努める看護師も立派な仕事ですし、必要とされています。けれども、あなたがまだ20代や30代であるならば、気楽な場所に腰を据えるのは少し早いでしょう。これらの職場は、50代でも60代でも働ける職場です。むしろ、たくさんの経験を積んできた人が行く場所です。勉強が足りないままでいくと、本当に何も知らずに患者を受け持つことになってしまいます。突然の急変や何か処置をするといった時にも「やったことがない・知らない」ことばかりになってしまいます。

 

 やはり知識や経験をつけるには、急性期病棟に行くことが近道です。日々必要とされれば、次の勤務までに必死で勉強してきます。日々進歩する医療の場ですから、どんどん新しい治療や薬が導入されます。それらの勉強も基本と並行して学んでいく必要があります。
 新しいことや電子カルテ、委員会、面倒な記録から逃げて個人病院に勤めても、結局のところ10年経てばそれらの病院も追い付いてくるものなのです。国の制度が変われば病院も生き残りのために制度を変えます。だったら、できる限り前線にいて、本当に体力的にも精神的にも辛いなあという年齢になったら一線を退く方が、看護師として現役でいられます。

一度離れた急性期病棟に戻れるのか

 急性期を離れて何年も経過すると、そこでの仕事に慣れてしまうものです。その「慣れ」から脱するには勇気が必要ですね。年を重ねると、変化に対応するのは簡単なことではありません。けれども若いうちならまだ最初は大変でも、また新しい場所に適応することができます。
 急性期病棟に戻ると、どのようなことが待っているでしょうか?いくつか挙げてみましょう。

  • 昔と薬が大幅に変わっている(ジェネリック医薬品の導入、新規薬の採用)
  • 残業が増える
  • 看護記録の形式や書き方が細かい(看護計画等)
  • 日々患者の状態が変わるため医師からの指示も毎日出て、その分指示受け業務が増える
  • 看護必要度を始めとした、数年前にはなかった制度がたくさんある
  • 休みでも勉強会の参加や自宅でも勉強をしないと、受け持ち患者を持てない
  • 看護技術の見直し・練習をしないと、受け持ち患者の処置ができない
  • 若手ばかりなので、即戦力としてあてにされる

 20代後半や30代は子育て期に当たります。家に帰ったからといって自分の時間はありませんし、残業をするにも休みで勉強会に参加するにも子供を預ける必要があります。
 いくらスキルアップのためといっても、置かれている環境的に急性期病棟に戻ることができない場合もあります。

 

 人生、何事もチャレンジすることは大切です。どんどんスキルアップを目指して、前向きにエキスパートナースの道に進むことは褒められるべきことです。一方で両親も働いていたりとサポート体制が整っていないのにどんどん仕事を入れても、家庭に影響します。また、性格的に新しいことに向かうことや急性期が苦手という人もいるでしょう。

 

 急性期病棟に行かなければ勉強ができないということはありません。できる限り急性期病棟での経験を積んでおく方が良いですが、それが無理ならば今いる職場で自分なりに負荷を与えて、スキルアップしていくべきでしょう。
急性期における看護師のストレスがハンパではないことは当然ご存知だと思いますが、復帰の場合は想像をはるかに超えると考えて覚悟しておく必要があります。